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UPDATE : 2014.12.04

[紹介] 練習中の運動量測定データ

 

 先日のトレーニングに、宇津木選手のスパイク底に【micoach SPEED_CELL】をセットしてもらいました(micoachの説明はアディダスのHPを参照ください)。測定されたデータを紹介します!

 

 

 基礎的なデータはmicoachのサイトに表示されます↓

 2014_12_04_p01

 

ただ、宇津木選手の特徴を考慮し適切な考察をする為、micoachに記録される時間・距離・ステップ数の数値データを抽出し、下に表示する4つの分析を追加しました。

わかりやすくする為に、【数値の算出方法】と【グラフの見方】と【イメージ】と【考察】も紹介しています。

 

※選手の動きに優劣をつける分析ではありません。試合戦略・状況・天候などの外的要因が多く含まれています。各試合の特徴を捉える為の分析です※

 

今回は [パス練習] と [自主ランニング] の2ケースを紹介します!

 

◎ ◎ 練習1: パス練習 (強度:軽め) ◎ ◎ 

 

2014_12_04_p02

 

分析1: スピード変化〕

  【数値の算出方法】

 -スピード: 距離の時間微分 (micoachの基礎的なデータで速度グラフは出ますが時速表示がないので、距離の数値データから微分して速度を求めました。micoachで排出される波形と一致します)

 -最高スピード: スピードの最高値

 -平均スピード: スピードの平均値(ただし、静止時間は除外して計算)

 

  【グラフの見方】

-横軸が時間、縦軸がスピード(単位:時速)を表します。点で表示されているのは最高スピードです

-試合での測定結果では、前半・後半を区切り、それぞれのスピード数値を算出します

-サッカーボールは得点、黒いサッカーボールは失点を表します

-ハーフタイムのデータも表示していますが、距離変化がほぼ無いので、影響を受けるのは、時間の項目だけです

 

  【イメージ】

 -100mを10秒で走る選手の場合、横軸は10秒で終わり、最初の3~4秒はスピードがどんどん上がっていき、それ以降は速度の伸びよりも最高速度をキープするグラフになります

-マラソンの場合は横軸2時間以上のデータで速度の変化はさほどみられません

 

  【考察】

 -7分以前は練習前のスパイク履きなど → スピードはほぼゼロ

 -7~25分はボールを使わない軽いウォーミングアップ → スピードは低い

 -27~42分はボールを使ったウォーミングアップ → 速度帯が上がりグラフがわりかし連続

 -42分~1時間21分はパス練習 → グラフがのこぎり状 → スピードを急に上げ下げしている。バスの合間は監督指導&待ち時間なので速度はゼロに戻る

 -1時間21分以降は複数人でのパス回しの練習 → 動きがわりかし連続

 -1時間45分時点 → 練習終了

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  2014_12_04_p03_

 分析2: スピード域毎の時間分布と距離分布

  【数値の算出方法】

 -スピード組み分け: 宇津木選手タイムと感覚から定義
  → ダッシュ:   20km/h以上 (100mを18秒以下)
  → 高速ラン:   12~20km/h (100mを18~30秒)
  → ランニング:  4~12km/h (100mを30~90秒)
  → ウォーキング: 4km/h以下 (100mを90秒以上)

   ※まだ暫定的な定義です。分析を重ねた後に、速度の組み分けを変更するかもしれません※

 -スピード別の距離: 各スピード域で走った距離の合計

 -合計時間: micoachの測定時間。 運動時間: 静止時間を抜かした時間の合計

 -運動時間率: 測定時間に対する運動時間の割合

 

  【グラフの見方】

-左の円グラフ: 宇津木選手が各スピード域でどのくらいの時間を走ったかを表示

-右の円グラフ: 宇津木選手が各スピード域でどのくらいの距離を走ったかを表示

 

  【イメージ】

 -女子マラソンの世界記録が2:15:25なので、平均時速は18.7km/hになります。よってほぼすべての時間&距離を高速ランが占めます

-男子100mの世界記録が9:58なので、平均時速は37.6km/hになります。ただ、ゴール付近での最高速度は時速約45km/hに到達します。平均と最高速度が大きく異なるのは、最初の30~40mは加速していて、全走行距離に対する加速距離の割合が大きいからです。よって、円グラフで速度と距離の移り変わりが見えるはずです

 

  【考察】

 -静止の時間が半分近く占めている → 練習前&練習後も測定してしまった事&練習時の監督指導&待ち時間の影響

 -ランニングの速度帯が練習の約1/4の時間で距離の約3/4を占める → 今回の練習のメインの動きはここから来ている

 -最初のグラフで12km/h以上の波形は幅が短い → 高速ランは瞬間的に行っている → 走行距離が限定的になる

 -最高スピードは19.4km/h → 今回の練習ではダッシュ走行は無し

 -走行距離が4.7km → 一般的な試合の半分くらい(?) → 今後の試合と比較

 

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2014_12_04_p04_

 

〔分析3: 加速・減速の合計時間と回数

  【数値の算出方法】

 -加速度: 速度の時間微分

 -加速度が正の値を持った時は加速、負の値は減速の状態。ゼロのときは①一定スピードで走っている場合と、②静止している状態で分類(距離変化の有り無しで判断)

 -加速とはスピードを上げている状態。減速とはスピードを落としている状態

 -回数: 加速・減速・一定スピード・静止の回数をカウント

 

  【グラフの見方】

-上のグラフは加速・減速・一定スピード・静止の時間の合計。下はそれを行った回数

-最高と平均の加速・減速を算出

 

  【イメージ】

 -1m/s2の加速とは、止まっている車が一定にスピードを上げて、10秒後に時速36キロに到達する大きさです

 -100mを9秒台で走る選手のスタートダッシュの加速度は約4m/s2くらいです

 

  【考察】

 -今回の練習では加速の合計時間と回数が減速に比べて多い → 段々にスピードを上げて行っている

 -減速は時間・回数とも少ない → スピードに乗った状態から一気にスピードを落としている

 -最高加速が最高減速よりも大きい上に、平均値は一致 →  緩やかな加速を多用している

 -速度変化の合計回数が604回、運動時間が57:35 → 平均すると5.7秒に一回速度変化をしている

 

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 2014_12_04_p05_v2

 

分析4: 加速・減速の合計時間と回数

  【数値の算出方法】

 -ステップ長さ: 各スピード域の総距離をステップ数で割り算

 -毎秒のステップ数: 各スピード域のステップ数を時間で割り算

 -平均ステップ数: 総距離を総ステップ数で割り算

 

  【グラフの見方】

-各スピード域でのステップ長さを縦軸に表し、各円の大きさが毎秒ステップ数を表し、その数値が記入されています。

 

  【イメージ】

 -100mを9秒台で走る選手は約41ステップで走るので、毎秒約4.3ステップ & 平均ステップ長さ約2.4mになります

-1ステップの世界記録は走り幅跳びの8.95m(男子)

-3ステップの世界記録は3段跳びの18.29m、つまり平均1ステップ約6.1m(男子)

 

  【考察】

 -スピード帯が上がる → ステップ長さと毎秒ステップ数が増える

 ※毎秒ステップ数に誤りがありましたので訂正させていただきました。大変失礼しました(2014.12.08 訂正)

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◎ ◎ 練習2: 自主ランニング (強度:軽め)  ◎ 

 

2014_12_04_p06

  【考察】

 -17分速度はほぼ一定(ところどころスピードが落ちているのは信号待ち)。18分以降はクールダウン

 -平均スピードは8km/hだが、クールダウンを抜かした場合は約10km/h

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2014_12_04_p07_

  【考察】

 -走行距離は3.2キロでほぼ全時間・距離がランニングのスピード帯 → 練習の目的に合致

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 2014_12_04_p08_

 

 【考察】

 -ランニング練習 → ほとんど一定速度の走り

 -信号待ちの5回を加速・減速から引くと、走行22分中の速度変化はそれぞれ8回と5回と限定的 → ペースを保った走行

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2014_12_04_p09_v2

 【考察】

 -ランニングの時間帯が圧倒的に多い → 一番信頼の出来るデータになる

 -そのランニング時では、ステップ長さ0.9m、毎秒2.6ステップで、上に紹介したパス練習とほぼ似た数値 → ボールを触っているときも触っていない、の影響を受けずステップ幅を一定に保っている

 ※毎秒ステップ数に誤りがありましたので訂正させていただきました。大変失礼しました(2014.12.08 訂正)

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 このような分析を次回は7日に予定されているアルビ戦のデータで紹介したいと思います!

 

お見逃し無く!

 

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